「掲載したけど応募がなかったので、もう掲載はやめようと思います。」
求人メディアを運営していると、営業活動のなかでこの言葉に何度も直面することがあります。
特に、初回掲載で満足な反応が得られなかった場合の離脱は、運営者にとっても収益や継続運用の面で大きな課題になります。
多くの企業は、“求人広告=即効性があるもの”というイメージを持っていることも多く、1回で結果が出なければ失敗という判断をされがちです。
しかし、私たちが目指すべきは、“継続的に採用活動のパートナーとして選ばれる存在”。
そのためには、**「結果が出なかったときに、どうフォローし、どう提案するか」**がカギになります。
このコラムでは、「1回きりで終わらせないための提案術」を3つの軸から深掘りし、地場企業・中小企業にも響く提案のヒントをお届けします。
目次
1. 掲載前に「魔法ではない」ことを伝える──期待値のチューニング
中小企業の多くは「広告慣れ」していません。
つまり、**“広告とは何か”**を十分に理解していないまま掲載に踏み切るケースも多いのです。
「載せたら誰かしら来るんでしょ?」
「うちの条件ならきっとすぐ決まると思う」
──そんな“期待値”のまま掲載をスタートしてしまうと、応募が1件もなかった場合、その反動は大きな失望となり、「もう掲載しません」という結果につながります。
だからこそ、掲載前に“想定反応数”や“現状の市場”をしっかり伝えることが大切です。
例えば:
- 近隣エリア・同条件の求人の平均反応件数(例:月平均2~3件程度)
- 想定ターゲット層(年齢層や勤務希望時間)とのマッチ度
- 「応募が来るまでのラグ」が発生する可能性
このような**「現実的な期待値」にチューニングしておくこと**が、のちのクレームや不満を未然に防ぎます。
さらに、事前に「掲載後も改善していけます」という“運用型”のスタンスを伝えておくと、より一層納得感が生まれます。
2. 効果がなかった理由を“データ”で示す──納得度を高めるレポート力
「なんで来なかったのかよく分からないんですよね」
これが、掲載企業が次回をためらう本音のひとつです。
つまり、**“原因不明=改善策が見えない”**という状態が、継続を妨げているのです。
ここで必要なのは、“感覚”ではなく“数値”。
アクセス数、クリック数、応募までのコンバージョン率──そうした目に見える数値で、掲載結果を振り返ることが重要です。
▼具体的にこんな視点で分析・提案を:
- 原稿のクリック率はどうだったか?(タイトルや写真が弱かった可能性)
- 詳細ページは見られていたか?(内容に不足があったか)
- 応募フォームまで到達した割合は?(応募条件が厳しすぎた?)
- 同エリア・業種で掲載中の他社との比較(掲載内容に競争力があったか?)
数値が出せない場合でも、「なぜ効果が出なかったのか」を仮説ベースで整理して見せることで、**“次に何を変えればいいのか”**が明確になり、企業も再チャレンジしやすくなります。
3. “やりっぱなし”にしない──改善提案こそが営業の本質
掲載後、何のフォローもなければ、「結果が出なかった=意味がなかった」という判断になるのは当然です。
だからこそ、掲載後のフォローでは“提案の具体性”が勝負。
ただ「次はこうしましょう」と伝えるのではなく、「なぜそうするのか」までをロジックで語れるかが、信頼関係をつくるカギになります。
▼例:改善提案の伝え方イメージ
📝 Before
「次はタイトルを変えてみましょう」
✨ After
「今回は“●●募集”というタイトルでしたが、求職者の検索キーワードを見ると“●●ドライバー”という語が多く使われていました。次回はより検索されやすい語を入れて、上位表示とクリック率アップを狙いましょう」
4. 「継続前提」で設計されたプランを用意する
企業が“1回きり”でやめてしまう背景には、掲載プランそのものの設計が関係している場合もあります。
「1回きりの単発プラン」しか用意していなければ、掲載も自然と単発思考になります。
そのため、最初から「2回セット」「掲載後の見直し込み」など、改善余地を織り込んだ掲載プランを用意するのも一つの方法です。
また、提案時にあえて「1回出して終わりではなく、少なくとも2回はPDCAを回しましょう」と伝えると、企業も“継続ありき”の視点で検討してくれるようになります。

おわりに:成果が出ないときこそ、信頼が生まれるチャンス
求人広告において、効果が出なかったときこそ、本当の勝負どころです。
「反応がなかったから終わり」ではなく、
「だからこそ改善できるポイントがある」とポジティブに提案する。
その積み重ねが、企業からの信頼を生み、リピーターや紹介につながっていきます。
成果が出ないときこそ、ただの“広告枠の販売”ではなく、“採用パートナー”としての価値を示すチャンス。
運営側の工夫次第で、単発の掲載を、継続的な関係に変えていくことができるはずです。